当時の私は、太っていました。
身長165センチ、体重80キロ。デブと言われたら、ああそうだねと納得できるほどのデブ。
そんな私にも、好きな女性がいました。
何度か食事を重ね、夜に二人に飲みに行ったりして、
プライベートな会話を楽しみつつ、仲良くなっていきます。
ある夜、横浜の居酒屋で、私は思い切って告白しました。
即座に笑い声とともに返ってくる「お断りします!」
私はかろうじて、「そんな秒殺されるとは思わなかったなー」と笑い返しました。
夜も遅く、客もまばら。
私は逃げるように、「じゃ、じゃあ、そろそろ帰ろうか」と
会計へ。
会話が聞こえていたのか、私の気のせいなのか、
店員が私のことを、かわいそうな人を見る目で見ていました。
放心状態だった私に、相手の女性は、「大丈夫?」と声をかけてきます。
お前のせいだよ!と思いましたが、これは逆恨みというもの。
「大丈夫大丈夫。そんじゃーまた」と言って別れました。
「また」? もう二度と会うことはないでしょう。
私は放心状態で家に帰り、次の日に「よし、やせよう」と考えていました。
なんと小さな男なのでしょう。太った肉体に小さな精神が宿る。
私は、フラれたのを、自分が太っていたせいにしたかったのです。
今まで怪しげなダイエット方法を試してもいっこうに効果がなかった私の肉体は、
「夕食前に15分ウォーキングをする」ということを続けただけで、ダイエットに成功しました。
1年で、80キロが68キロ。
「デブ」から、「少しがっしりしている人」の域には入ったことでしょう。
その「がっしりしている人」の期間に、私はまったく別の人と結婚し、
3年たった今、再び80キロの肉体に戻って来ました。
今の妻は、「わきばらの余った肉がたまらん」という小デブフェチっぽいので、
私はきっと、今後もデブのままでしょう。
しかし、各種ズボンの腹回りが、のきなみ入らなくなったので、
次は「失恋」以外の方法でダイエットを考えているのでした。
成功率高いかも知れないけど、おすすめしませんよ、失恋ダイエットは。